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性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律

はじめに

「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」通称GID特例法は、平成15年7月16日に公布こうふ(国民に発表)され、翌年7月16日に施行しこう(公布された法律が有効になる)されました。
その後、平成20年6月18日に改正されています。

このページでは、法学部卒のスタッフが、子供の当事者など、どんな人でも分かりやすいように、解説していきます。
それでは、この法律は何をさだめているのか、いっしょに見ていきましょう。

第一条(趣旨しゅし

この法律は、性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの特例について定めるものとする。

解説

まず、趣旨しゅしとは、目的の事です。つまり、この法律の目的はこうですよ。という文章です。
戸籍こせき(人が生まれてから死ぬまでの出来事を記録した文書)をはじめとして、住民票や保険証など、国があなたに発行する証明書類には、生まれた時の性別が記載きさいされ、変える事はできません。

でも、あなたが性同一性障害を抱えていて、この法律に書かれている条件をクリアすれば、こういった書類に書かれている性別の変更を認めますよ!と、国が決めたという事です。

第二条(定義ていぎ

この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的じぞくてきな確信を持ち、かつ、自己を身体的しんたいてき及び社会的に他の性別に適合させようとする意思いしゆうする者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見ちけんに基づき行う診断が一致しているものをいう。

解説

定義ていぎとは、簡単に言うと言葉の意味を決めることです。この第二条では、性同一性障害とはどういうものであるかを決めています。
つまりこの条文に書いてあることに当てはまれば、あなたは法律が認めるGID当事者ということになります。

MTFを例に説明します。
①この場合、生物学的には体は男性です。でも心理的、つまり心の中では自分は女性であると、いつも確信しています(心から信じてまったく疑っていません)。
②そして、自分の体(肉体的な外見)を女性に変える決心をしています。女性として社会で生きていくために。

でも、これだけではこの法律が言っている性同一性障害者ではありません。

③さらにGIDの知識・診療経験を持っている二人以上の医師(この場合、日本で医師免許を持っている者)の診断が一致している必要があります。
また、「一般に認められている医学的知見ちけん」とありますが、この場合は

日本精神神経学会にほんせいしん しんけいがっかいの「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」などが、これにあたると考えられています。
しかし、「一般に認められている医学的知見ちけん」はこれですよ!と言っているわけでもないので、あいまいな文章だと言えるかもしれませんね。

以上3つの条件をクリアすれば、この法律が意味する性同一性障害者であることになります。

たまっち

ここでちょっと休憩だっぴ!みんなよく頑張って読んでるっぴぃ~☆
目が疲れたら、たまっぴを見てっぴぃ~ 疲れがとれるっぴよ
一緒にダンスでもするっぴ?コロコロ コロコロ
あれ?転がることしかできないっぴぃ~(泣)

第三条(性別の取扱いの変更の審判しんぱん

家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当がいとうするものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判しんぱんをすることができる。
一  二十歳以上であること。
二  現に婚姻こんいんをしていないこと。
三  現に未成年の子がいないこと。
四  生殖腺せいしょくせんがないこと又は生殖腺の機能を永続的えいぞくてきに欠く状態にあること。
五  その身体について他の性別にかかる身体の性器に係る部分に近似きんじする外観がいかんそなえていること。
2  前項の請求をするには、同項の性同一性障害者にかかる前条の診断の結果並びに治療の経過けいか及び結果その他の厚生労働省令こうせいろうどうしょうれいで定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。

解説

だんだん法律っぽい難しい文章になってきましたね~。要するに第三条の条件を全てクリアすれば性別変更の審判しんぱん(裁判所での手続き)ができます。という事です。

ここで注意しなければいけないのは、「手続きができる」という事です。性別の変更が認められるかどうかは、裁判官の判断によります。

さて、順番に見ていきましょう。
一つ目はそのまんまの意味です。
二つ目、「現に婚姻をしていないこと」は、今現在(裁判所での審判しんぱん請求せいきゅう段階で)結婚していない状態です。過去に結婚してても現在離婚していれば問題ありません。
三つ目、「現に未成年の子がいないこと」は、今現在(裁判所での審判しんぱん請求せいきゅう段階で)19歳以下の子供がいない状態です。
四つ目、一言で言うと、永遠に子供が作れない体の状態であればいいという事です。
五つ目、変更したい性別の性器と似ている外見に変えている必要があります。

これで終わりではありません。
厚生労働省こうせいろうどうしょうが認めた条件を満たす、治療の進行状況・結果が書かれている医師の診断書を、裁判所に提出する必要があります。

以上が裁判所で性別を変更するための手続きを請求せいきゅうするための条件です。

第四条(性別の取扱いの変更の審判しんぱんを受けた者に関する法令上の取扱い)

性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす。
2  前項の規定は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別の取扱いの変更の審判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。

解説

第四条では、裁判所で性別を変更するための手続きを受けた人(性別の変更が認められた人)が、民法など他の法律で、どういった扱いを受けるかを決めています。

基本的には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」によって、性別の変更が認められた人は、民法やその他の法律でも、性別が変わったと認められますよ。と言っています。
つまり、結婚や子供を養子にすることもできます。また犯罪を犯した場合も、変更後の性別で手続きが進められます。
2項(2番目)で言っていることは、性別の変更が認められた人は、戸籍こせきの性別も変える事が出来るわけですが、変更前の身分関係に影響はしません。
どういう事かというと、子供がいる場合は子供の戸籍には、変更前と同じく父親あるいは母親と書かれたままであるということです。
子供が生まれた時に、父親あるいは母親だった事実は変わらないということですね。
「法律に別段の定めがある場合」とは、特別法や政令せいれい省令しょうれい、規則などの「別段の定め(別の決め事)」により、ルールが修正されることがありますよ。という意味です。

附則ふそく

施行しこう期日)
1  この法律は、公布の日から起算きさんして一年を経過した日から施行する。
検討けんとう
2  性別の取扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲その他性別の取扱いの変更の審判の制度については、この法律の施行しこう後三年を目途めどとして、この法律の施行の状況、性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等を勘案かんあんして検討が加えられ、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要しょよう措置そちこうぜられるものとする。
3  国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)附則ふそく第十二条第一項第四号及び他の法令の規定で同号を引用するものに規定する女子には、性別の取扱いの変更の審判を受けた者で当該とうがい性別の取扱いの変更の審判前において女子であったものを含むものとし、性別の取扱いの変更の審判を受けた者で第四条第一項の規定により女子に変わったものとみなされるものを含まないものとする。

解説

一つ目は、この法律を発表してから一年後に有効となりますという事で、現在はすでに有効な状態です。
二つ目は、社会環境は変わっていくので、3年を目安にこの法律を見直し、必要があれば改正していきましょう。と言っています。
三つ目は、国民年金法等の一部においては、女子という時は性別変更前に女性だった人(変更後は男性)は含むが、変更後に女性になった人は含みません。ということです。
国民年金法のどの部分について言っているのかは、資料がないので分かりませんが、興味がある人は、専門の法律家や役所の年金担当部署などに聞いてみて下さい。

おわりに

このページの解説を読んでみて、分かりにくかったり、この部分違うんじゃないの?といった場合には、お問い合わせよりご連絡下さい。

参照:総務省e-Gov「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」