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精神科医の小栗先生が考えるGIDと診断するための基準とは?

さて、GIDと診断するには基準となるものが必要です。
「私がそう思ったから」 では説得力がありません。

精神科において、その患者さんの診断をつけるのに、従来はドイツ医学を利用していましたが、近年では、アメリカの精神科の学会が作ったDSM分類や、世界保健機関(WHO)が作ったICD分類を使っています。厚生労働省は公的な診断書では、ICD分類を使うように指導していますので、ICD分類で診断し、病名をつけることが一般的です。

ICD分類はアップデートされ続けており、現在はICD-10が使われています。ICD分類は、世界の保健統計をとるための診断基準で、精神疾患だけではなく、身体疾患も含めた全ての病気の診断基準です。
ICD-10の精神疾患分類の中にGIDの項目があり、更にその中には性転換症以外にも、両性役割服装倒錯症などがあります。しかし、実質的に日本では「GID=性転換症」と考えていいでしょう。

その中で、GID(性転換症)と診断するには、3つの要件を満たすことと規定されています。それは、身体的性別とは別の性別で生きたいという願望があること、その気持ちが2年以上連続して続いていること、それが他の病気のせいではないこと、です。非常にシンプルですね。
そして、今年の末にはアップデートされた新しいICD-11が出る予定になっています。その精神疾患の概要が既にわかっていますが、その中に性関連障害は含まれていません。
即ち、WHOはGIDを「精神疾患」ではなく「身体疾患」として扱うことにしたのです。ここで大きな矛盾が生じます。
それは、精神疾患ではないGIDに、精神科の学会がガイドラインを作っているということです。どう考えてもこれはおかしい話になります。

GIDに関しては精神科医の出番じゃないということが世界の流れになるということです。
精神科医の役目は、「GIDのようにみえて実は違う病気が原因で性別違和感のある患者さん」を鑑別診断することだけなのです。
私の経験では、幼少期の性的トラウマからそのような状態になっている患者さんが0.1%います。しかし、鑑別診断もきちんとせず、気持ちが変わらないかを確かめるだけに何回も通院を強制するお粗末な医療機関もあるようです。
医療は、患者さんのためにあるという大原則、それは国で言えば憲法を無視しているようなものでしょう。

次回、「GID当事者の皆さんに贈る言葉」お楽しみに~♪

前回のコラム
私が精神科医としてGIDに関わってきた経緯

ガイド
小栗 康平
早稲田通り心のクリニック

更新日:2017/06/20
公開日:2015/08/16